第23章 Garden of Daydream…IV
「説却––––始めようか」
「嗚呼」
「はい」
幹部の一言で場が静まる。
ポートマフィア傘下企業の部下たちも、こっちの陣営の部下たちも一斉に襟を正した。
菜穂子の纏めた資料を捲り、三島が顔を上げる。
「……読んでの通りだけれど。
昨夜の戦闘で何か感じたことは?」
「はい。では私から。
最終的には私たち三人で挟撃に至りましたが、かなり手練れのようです。後、戦闘前からすでにバージンキラーは手負いでした」
成る程、三島が菜穂子を評価していたのはこう言う部分か。
「うん、有り難う。
ちょっと先の見えなさそうな展開になって来たって顔してるね中也」
「ア? まあ、そりゃなぁ」
「中也があれに違和感を感じた部分を当ててあげようか」
にこりと笑って指を口元に当てたこいつは卑怯だ。
女がいたらきっと堕ちるという確信がある。
……菜穂子は元々堕ちているからノーカウントだ。
「戦う相手が男性と女性とでは、あれの強さが目に見えて違ったこと。……だね」
「嗚呼……そうだ。
遭遇時初期は、男二人掛かりでも押さえるのが難しかった。
……終いにゃ三島の異能の天敵ときた」