第23章 Garden of Daydream…IV
「三島幹部、中原幹部。一時間です」
一時間後、ぴったりきっかり一時間後に菜穂子がドアをノックした。
「どうぞ」
「はい」
穏やかな声が自分の問いに返し、端的に言って中に入れば、何やらかなり酷く魘されているご様子の中原幹部と
いつもの柔和な笑みを浮かべて中原幹部の背を摩っている三島幹部……
いつもと立場が逆のように見えます。
「資料を纏めて来ましたが……
それより、水を用意した方がいいみたいですね。
少々お待ちください」
さっさと部屋を後にして去った菜穂子が置いて行った資料を、三島が捲る。
「うん……やはりそうか。
頼んでおいて良かった」
「……何をだァ…?」
二日酔いの人みたく痛む頭を抑えながらも起き上がった中也が
一人呟いた三島にそう尋ねた。
「あ、中也。大丈夫なの?
今 上橋がお水を持って来てくれるから」
「有難いぜ……
ッたく、これがまさに『夢見が悪い』ってヤツか……」
「あはは、うまいね」
夢を見ることと、夢を見させる者……夢見たる僕の
両方悪いってことを掛けたんだね。
「で? 秘密主義もいいけど、共有しろよ手前。
手前の脳ほど、俺らはイってねェからな」
「嗚呼……うん、もう皮肉は甘んじて受け取るよ、今は。
ご馳走様、中也。ありがとう」
言った言葉とは裏腹に悪びれた様子もなく中也にそう笑いかければ、中也が眉間に皺を寄せた。
ふわりと笑った三島は矢張り確信犯である、本当に性が悪い。
まあ、その性と呼べるモンも今さっき俺から摂取したやつだけど。
「中原幹部、調子は大丈夫ですか?
何だかもの凄く魘されておりましたが……」
数分後、よく冷えた水を持ってきた菜穂子が
背後から卓にコップを置いた。
「それは三島が悪い!!」
「あはは」