第22章 白と黒の境い目…太宰治誕生日 6月19日記念
空が裂けて、世界がどんどん白んでいく。
夜明けのような白い光を青い海が反射していた。
ぱきぱきと音を立てて、少しずつ世界が崩壊する。
不思議と、存在が消える恐怖はなかった。
これは僕が毎日体験している事だから。
女の子の夢から覚める時はいつもこうだ。
「もう……覚めどきかな」
まるで桜が散るように
花びらが吹き遊んで無邪気に散らすように
こうして夢の寝覚め前を意識から切り離す感覚。
結構時間は稼げた方だ。
全くもう、太宰が誕生日じゃなきゃもっと手を抜いているよ。
「結局、いつ、どんな夢の終わりだとしても
僕はやっぱり一人きりで
世界の終わりを聴いているのか〜……」
喪われた時間はもう戻らない。
繰り返し続けた存在否定のこの現象を
誰かと一緒に感じられたなら……
「由紀」
「由〜紀君!」