第22章 白と黒の境い目…太宰治誕生日 ６月１９日記念

「じゃあ、私は君と死ねればいい。


だからいっそこうして何もせず、
他愛もない話をしながら夢の終わりに巻き込まれて、

存在がダウンサイジングされるのを二人で感じられていればそれでいい。」



「ふむん……ま、それなら良い。

寒い苦しいと感じながら延々と溺死をする最後なんてのは笑い話にもならぬよ」


二人で話しながらその鼓動を感じ合う。


確かに感じる。

これが夢だとしても、この夢の中の君が生きていることを。




ぱらぱらと雨のように、夢のかけらが降り注いでくる。

空が裂けて周りの景色が歪んでゆく。



三島君のおかげで、こうして悠長に

世界の終わりまで真綿と語っていられる。




そういえば、と三島君を探すと、彼はすでに目を閉じていた。

静かに鳴り響くこの崩壊の音を聴いている。




「治––––、嗚呼……由紀か」


「うん……、あ、そうだ。ねえ、真綿……」