第21章 Garden of Daydream…III
「どうした? 何かあったか?」
《嗚呼……。
恒常性はさて置き、何だかこう……操作されているような節があるのさね。》
「つまり、本人ではない、と言うことか」
《さぁな……そこまでは推し量れなかったが。》
真綿がそう言ってから、嗚呼そうだ、と言う。
《この一件の依頼を、其方も受けたのだったよな?
なら、明日合流しようか。》
「嗚呼、無論だ。しかし……ま…あ、いや、あれだ。」
《名か。》
察し良く彼女がそう呟く。
真綿、この名をあの新人に出してはいけない。
なぜだか使命感にも近いそんなものがあり、そして特務課も似たような事を匂わせて来た。
《あるじ殿。なあ、あるじ殿?》
「なんだ?」
歌うように弾んだ彼女の声に
自然と顔が緩んだのが感じられた。
《今の妾は、誰でもなく福沢殿のものだ。
永遠に、地獄まで共にあるものだ。
だから、福沢殿が妾に新しい名を与えると良い。》