第21章 Garden of Daydream…III
「嗚呼。」
《資料は読んだのかや?》
「手元にある」
真綿の頭が今 高速で回転しているのか、何やら一つ一つを考えて言っているみたいだ。
「男ばかりを狙い、去勢して殺害する。醜悪な殺人鬼だ。
便宜名は、"バージンキラー"。」
乱歩が、電話貸してよーとぴょんぴょんしていた。
《……その事なんだが……》
「どうした」
煮え切らないのではない、
これを言って良いのかという沈黙でもない。
これは、予想外の事で現状、打つ手が限られている時の沈黙。
《バージンキラーの異能力は、何と書いてある?》
「恒常性とある。」
恒常性。
物理的なものではなく体内器官を一定に保つ機能だ。
恒常性はどの人間にもある。
大きな括りで言えば動物ならば。
意図的に機能されるのではなく、ほとんどそれらは反射に近い。
言って仕舞えば、恒温動物ではなく変温動物に成れるという事だ。
《即効性の劇薬を撒いたとして、それが体内で漉されて浄化するのにその異能力だとどの程度の速度で出来そうだ?》
「5分くらい掛かるのは確かだと思うが……
そのような強力な毒が浸透すること自体には5分と要さない。
しかし、恒常性は反対の事をする。」
福沢の意見に、真綿が「矢張りそうさな……」と言った。