第21章 Garden of Daydream…III
《何だか奥さんとの事情が噛み合っていないのね?
それもまた良いじゃない。》
女性は年を重ねると人の話を聞かなくなる性質なのだろうか。
ため息を吐いた福沢は、本題を尋ねた。
《そう、そうよ!そんな事言ってる場合ではないの。
福沢夫人が、こっちの街で最近起きている連続事件の犯人を捕まえようとしてくれているのだけれど……》
そのフレーズに何やら聞き覚えがあった。
つい先ほど聞いたやつではないか。
「バージンキラーという奴のことか?」
《あっ、もしかして依頼が来たのかしら。》
「今し方だ」
そう、つい先ほどだ。
男ばかりを狙い、殺して回っているという殺人鬼……
「……一般人女性……?」
そして先ほど、特務課のあの男が言っていた事……
今夜もすでに一人襲われて、女性が庇って病院に運ばれたと……
《それでね、夫人が何だか手段があるみたいな事を言っていたの!
今夜あたりにするんじゃないかしらって思って、それで私……!》
嗚呼、矢張りか。
彼女は、先ほど武装探偵社に頼まれた事を先に片付けようとしてくれただけだった。
経緯はどうであれ、なし崩し的になったとしても。
「昼見た時、彼女の近くに誰か男はいたか?」
《ええ。警察の男性が。》
これでやっと話が繋がった。
福沢が電話を切り、次に真綿の携帯に電話を掛けた。
病院にいるのだとしても、大怪我でないのなら
携帯を使える区域に運ばれただろうから……