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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第20章 Garden of Daydream…II


塀の上へと獣の巨体が着地し、研いだ爪を光らせる。



「動くな」



バージンキラーがぐるんっと首を回し、制止をかけた中也を見た。

注目したのは確かだが、果たしてどこを見ているのかが判らない。




「そこはすでにあの獣の間合いだぞ。

喰いちぎられたくなきゃそのまま膝を着け」



「––––男。男。女……!」



聞いているのか聞いていないのか、

否、言葉として理解していないのか。




「……殺すぞ。菜穂子」

「はい。」

ブロック塀から降りた猛獣が、目の前の食物へと牙を剥く。




「––––ッ! ––––ッ!」

「黙れよ、穢れ」


バージンキラーが手足をばたつかせたが、あの巨獣のあごの膂力と咬合力に敵うわけがない。




獣が噛みついた奴の頸椎から噴水のように血が噴き出して、

真夜中の道路を 真っ赤に染めあげてゆく。




「ぁ、ああぁあ……っ!」



そこで初めて、この人形のようだったバージンキラーの人間らしい反応を聞いた気がした。


まるで、今まで切られっぱなしだったスイッチが、突然入れられたように。




「……違う、か。」

「何がだ?」




何やらまたも考えを巡らせるように目を伏せた三島に

中也が問いかけた。
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