第20章 Garden of Daydream…II
菜穂子を背中に乗せたまま闊歩した獣が、
バキリとその牙で吹き飛ばしたバージンキラーから奪い盗った鉈をへし折る。
横に真っ二つに折れた鉈が、地面に散らばった。
「……三島幹部。
頼まれていたこちらの用事は終了しました。」
獣の背から降りた菜穂子が、そう言った。
「助かったよ。
こちらは何としても無傷……とまではいかなくとも、負けるわけにはいかなかった。
その点で言えば、ナイスタイミングだ。」
微笑んだ三島が、菜穂子の頭を優しくなでた。
目を丸くした菜穂子が、頬を赤くさせて嬉しそうに俯く。
「しかし––––だ。
あれの骨はほとんど全て折ったものの、きっと……」
きりもみ回転したあの体躯の三半規管は、あの異能でもう治っているはずだ。
治っているのではなく、元に戻っている……と言うべきか。
「まあ、そうだよね」
「ま、そうだよなァ」