第20章 Garden of Daydream…II
「––––ッ!」
その時……
どこからともなく、激しく怒り、憤り、
憎んでいる咆哮が彼らの耳朶を打った。
「……!?」
バッと3人が夜空を見上げると
青白い残月に、禍々しい巨体の獣が重なる。
民家の屋根を踏みつけ蹴り上がりながら、
"それ"は超高速で接近していた。
勇猛 猛々しく、聞く者を恐怖させる足音が近い。
高速道路を走る車両よりも速く、それは疾走して来る。
【GRrrrr––––!!】
残像だけが駆け、疾るたびに
アスファルトの道路を派手に陥没させた。
【––––!】
踏み台のように家屋の上をただひた走り、行く先々の障害物を薙ぎ払う。
「––––ッ!?」
バージンキラーが息を呑むが早いか、その身体が
風に揉まれる病葉のように軽々吹き飛んだ。