第20章 Garden of Daydream…II
「で?どうしたんだい?
部下たちを除けるだなんて、まるで人避けだ。」
「嗚呼。三島。手前ェ、今回の一件どう見ている」
「藪から棒に……。そうだね……」
言葉に反して唐突な質問に驚くでもなく、三島が目を伏した。
先ほど、車内で三島は今の中也の質問に似通ったことを菜穂子に訊いた。
「探したい人がいる、それはいい線なんだ。
僕もそれは考えていた。」
「あン?誰の意見だそりゃ」
「上橋だ。」
中也からの当然の問、三島は中也の方を向くことなく考え込む。
ただ、中也には、三島が今 何を思っているのか、何を考えているのかが判らない。
この男とは、世界一つぶん意見が食い違っているのではないかと
思うくらいに思考形式が乖離しているから。
菜穂子がどれほど不毛なのかは当然のように推し量れた。
「差し当たっては、ま、この後 今夜、仕掛けてみるわけだけれど……」
「嗚呼、なんか相応の作戦があンのか?
ッてか、あるんだよな」
「まあね。」
そこでようやく、中也の碧眼を射竦める 紺の瞳があることに気付いた。
そこに溌剌とした輝きはない。
世の女は、この男のこういう部分に惹かれるのか?
違うよな。
「……どっちにしろ、せいぜいうまくやろうぜ。
俺はまァ、手前ェに存分にこき使われてやるから」
「作戦参謀とあとで話すから、時間はまだあるよ。
準備は入念にってのは首領の受け取りだけれど。」
そう言い、手を振って去った三島は、やっぱりどこか理解不能で、どこか普通のやつとは相入れない。