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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第20章 Garden of Daydream…II


道路を 黒塗りの高級車が幾台も走り抜けた。


フェイクのためか、全ての車両に真っ黒いカーテンが閉められ、中の様子は窺い知れない。




その中の一台に、三島と直属部下である菜穂子が乗っていた。

運転は菜穂子よりも低い階級の黒服が受け持ち、幹部は膨大な量の資料を読み耽っている。





「…………。」


一方の菜穂子といえば、手持ち無沙汰にはなってしまうが、
自分の幹部からの要望に答えられるように常に何もしていなかった。





「…………。」


ぺらりと資料を捲る紙擦れの音だけが静かに響き、三島の紺碧の双眸が文面を滑るように見てゆく。





「……ねえ、上橋」

「はい」


その瞳が上げられ、自分を捉えた三島幹部は、何を考えているのかが判らない。

幹部の思考形式は常人とはかけ離れている。





「……どうして男を去勢して殺害し回っていると思う?」

「私の意見で良いですか?」

「言ってご覧」


促され、菜穂子が頷き答えた。

判らないことの答えは、取り敢えず選択肢を挙げてみなければ
ヒントさえ判らない。




「……その街に、探している女の人がいる……とか……」

「いい線だよ。 上橋も良い思考が出来るようになったね。」



三島がぱたんと資料を閉じて、菜穂子を見た。

その濃紺の目は、何を思ったのだろうか。





「……もしかして……三島幹部、今回のこの一件……目星ついていたりしますか?」


「判らないことが山積みだけどね。
だから行く。可能性を潰していかないと、時間がかかり過ぎてしまう。」




骨の折れる作業だな、と

三島が目を細めた。






「……あ。そうだ、上橋。

一つ頼みごとをされてもいいかな。」
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