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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第19章 Garden of Daydream…I


「何の音でありますか!?
……って…お前は!」




「––––!?」

「は!?」




いきなり背後の曲がり角の方から声が響いてきて、
さすがに振り向きはしなかったものの

Xの肩に食い込ませていた刃を無理やり引っこ抜いた。




人の肉を穿ち、えぐる感触。






「あ、貴方は昼間の!」

「寄るな!」



そこにいたのは、昼間まみえた警察の男だった。




まずい。

ばっと反射的に身体を翻す。



叱咤されて咄嗟のことに身体が動かなかったのか、警察は硬直している。




「……ッ、」




突然の痛みに眉を寄せた。

とにかく男である警察官を隠すようにして覆いかぶさる。




「鉈……!
危ないです、ここは自分に……!」

「駄目だ!
アレが貴様が昼、言っていた奴だ」



何とかして、自分がいるこの場だけは
やり過ごさなければならない。





「尚更です!」


「犬死にしたいのか!」



そう言いつつ、視界の中では未確認Xの持った鋭い鉈に
彼の身体が震えている。



彼奴が狙っていたのは、やはりこの警官のだった……





下段から横に一閃された鉈の刃は、
警察官を庇った彼女の真っ白い着物に鋭い切れ込みを入れていた。



着物に包まれた彼女の柔肌に、細い朱線を引いて引き戻る。




じわり、と純白の布地に赤が浮いた。






(……何かが……違う、というより……おかしい……)




この違和感は何なのだろう。

何がおかしいのか。



ゆらりとした覚束ない足取りで、もう一度鉈を振り上げる未確認Xに素早く切り掛かる。




(……そうか、)



速さか。
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