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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第19章 Garden of Daydream…I


速さ。




未確認Xは、先程からその身を

自分の小太刀によって幾度も切りつけられている。


なのに、身軽さや速さが落ちていない。




最初から相対している彼女の
先天的な縮地には到底敵っていなかったものの、怪我を負っても遅くはなっていない。




(つまり……)




懐からガラスの小瓶を取り出して、未確認Xの顔面へと投げつけた。

カンッとそれを鉈で打ち落とした未確認Xの周りに、薄紫色をした粉煙が蔓延する。





「––––……」



背後に庇った警官の鼻と口をハンカチで覆い、自分も息を止める。






(やはり)


野戦だから風に流されるということも大きいが、未確認Xに毒が効いていない。





「効いていないというか……
……ち、そうか、恒常性の異能力か」




毒を吸っても、体内で毒が漉されて無効化される。


だから怪我を負っても恒常性の維持が成されて、自身の体内環境は変化しない。





「……詰まるところ、タフネスってことかや……」





むちゃくちゃだ。



手負いとなった自分が、これ以上 背中の警官を守りながら戦えば

防御に徹することになる。



それでは駄目なのだ。





「現在進行形で、毒を吸いながら浄化する異能力……か。」



分の悪さは見て取れる。



逃げることも立派な戦略だ。

気に食わないが……





「撒くぞ!」

「はっ、ハイ!!」




缶の形をした煙幕弾のピンを引き抜き、地面に落として

背後の退路へと駆け出した。
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