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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第19章 Garden of Daydream…I


「は、それが……」



警察が口を開こうとしたが、真綿……否
福沢夫人が失礼を承知で手を掲げた。




「話の途中で悪いのだけどな……

何だか……男子が少なくないかや?」



「っ––––!」




自分の周りを見渡せば

そして目の前も然り、女性が多いのではなく……


男性が少ないからそう見えるのだと
彼女くらいの人間ならばすぐに悟れる。





「よもや、それはこれかや」


「は……。判りますか……」


肩を落とした警察が、申し訳なさそうに帽子を目深に被った。
街の機関を守り統率する組織が、何も出来ていないのだから。




「判るさね。少な過ぎる。男で通るのは子どもくらいだ。
……それで、その殺人とやらが……」

「はい…街の男たちが次々と去勢された挙句、その命を……」



去勢、それは男の身体の一部を引っこ抜くというか、外すというのか、とにかく良いものではない。


二度と子の命を宿らせる種を
育てられないという医療技術……





「––––……」



かつてポートマフィアの医師をしていた森に仕える身だった自分は、武器にスカルペスを用いていた。



スカルペスは簡単に言えばメス。

自分が使っていたスカルペスは
森があるじだったからだし、何より森と一緒にいた時間が長く
自然と知識に磨きがかかった。




手をわずかに触れただけでも皮膚を切り裂き、生体の組織を切るためにカーブがある。

これは、日本刀の反りでも同じ。
馬上からが増えたため、刀は自然と反っていった。




自分が靴に仕込んでいるのはカーボンナノチューブで、灰色をした極薄のフィルムシートだし
刃は着脱可能だから臨機応変に対応してくれる。


袂に仕舞った鉄線だってそうだ。





「……福沢夫人?どうかしたの?」


不安そうにした店主の彼女が恐々と問いかけた。




「いや––––、な。
しかし、狙われているのが男だと言うのならば、まだ打つ手は残されているというものさね。」


「……え? ……え?
な、危ないわよそんなの……!」



「ふふ。何を言っているのかや。
こんな時こそ、武装探偵社が出ずしてどうするのさね。」



大丈夫、と彼女がふっと微笑んだ。
獣のような炯炯とした光、その黒瞳は不敵に輝く。



「ちゃーんと、頼れる仲間にも連絡はするさ。」
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