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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第19章 Garden of Daydream…I


「ほら、これさね。」

「ありがとう、真綿ちゃん」



その日、なぜか探偵社員から渡されたものが

次から次へと場所移動を促すかのように、彼女をヨコハマから遠ざけた。



「うむ–––––。
……む、待つが良い。妾をその名で呼ぶのはしばらく控えてほしいのだ」

「え? あら、なんで?」


巡りに巡って真綿が来たのは、隣町からもだいぶ離れた(ヨコハマならなおさら––––)大きな街だった。



そこのマーケットに店を構える女店主に渡してほしい、そう言われ渡されたものを配達した真綿だったのだが……



「諸事情だ。しばらくで良い、もし見かけたら……
そうだな、福沢夫人とでも呼んでもらうかや?」

「あらあらぁ」



くすくすと二人して肩を揺らして笑う。

ガールズトークを楽しむ女子高生のようだ。




果たして真綿のこの言葉が、先の福沢の言葉と皮肉にも重なり、

後にひと騒動を呼んだのは言うまでもない……



「おや、イナバ屋のお姉さん。今日はでございます!」

「あら、お巡りさんも今日は。昼から見回りご苦労様です。」
「若者の特権さなぁ……」
「ほんとよねー……って、福沢夫人もまだまだ若いじゃな〜い」


真綿と店主が遠い目をして呟きあった。




「あの、ご婦人方。ここ最近、妙な殺人が増えているのであります。
お気をつけを。」


「やだ、怖い……」

「妙な殺人かや?」




真綿が首をかしげた。
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