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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第18章 色彩


「三時半だよ。お疲れ様。」



ギギィ……っと古く錆びついた音を耳障りに立てて、その鉄扉は開かれた。

開けた瞬間鼻を突いた匂いは、血なのか、この鉄なのか。


否、長年 どちらの匂いも嗅ぎ慣れている三島にしてみれば、一瞬でどっちなのかなんて判っていた。




「……幹部!?」
「ご苦労様です」
「こんな所までお足を運んでいただいて……」

三島がひらりと手を振れば、ざっと跪くようにして頭を下げる黒服たち。

それを視界の端で流してから、この地下の拷問部屋を見渡した。




「……ねずみ、ね。」


天井から吊るされている鎖が、痛々しくその"ねずみ"の両手を縛り上げている。

猿ぐつわをされていて、視界は麻袋で覆われていた。




「……嗚呼……君達は、もう休むといいよ。
長時間の拷問は精神に堪える。君達が正気を失わないとも言えないから。」


にこりと濃紺の瞳を向けて微笑むその幹部の笑みにゾッとした。


これが、ポートマフィアの五大幹部……

はい、と掠れた声で答えた部下たちが足早に部屋から出る。




興味の灯らない瞳を、天井から吊るしたその娘へと向けた。



「……さてと。」



三島がばたんと音を立てて鉄扉を締め、

ガチャン、と施錠した音が牢に大きく響き渡る。





「姐さんの拷問班がやっても口を割らない……ときた。
すごいね、君……

僕よりもここに行きたそうにしてた彼と来ても良かったけど、あの彼はやり過ぎるからね。」


太宰のことだ。

内部の人間の名を出してはいけない、それはいつの時代どこの暗部でも共通したもの。




「……手、痛そうだね。せめて袋は外してあげようかな。
自分の現状が判った方が良いだろうし。

聞いての通り、僕は先刻君を嬲ったあの彼らよりだいぶ上の立場の人間だから。」




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