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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第17章 もういいかい?


「嗚呼」

「……あちらの席は?」



新入りの言葉に、まずいと誰もが思っただろう。


その席は真綿の。

この新入りとは深く関わらないでほしいと釘を刺されたばかりだ。




「あちらは––––」

「国木田ァ」


どうしたものかと国木田が口を開いた瞬間、乱歩が呼ぶ。




「はい」

「……嗚呼、そこの席さ、まだしばらくは帰ってこないだろうから。
その時に紹介すればいいんじゃない?」



それの猶予を作るために、わざわざ真綿を遠くまで行かせたんだから。




「……だ、そうだ。後々紹介する。」

「……そう、ですか」


太宰のことだから何となく怪しんでいるのだろう。

訝しげにしながらも、自分の机に荷物を置く。





(でもまだ荷物はあるから…しばらくって言っても、日を跨ぐようなものでもなさそうだし…)


渋る必要は無さそうなのに、だ。




その時、社に電話が掛かってきた。

甲高い機械質の音が鳴り響く。



「……はい。国木田です。……え?
嗚呼……それは、その。

……はい」




何やら国木田が、電話相手に文句を言われているらしく冷や汗を流していたが

事務口調でないことから、多分さっきの––––





「……社長、彼女が」

「嗚呼、代わろう。私だ」


福沢が国木田から電話を受け取り、出る。




「嗚呼……量?む?繁華街の?

それで……隣町まで?」


隣町?と皆が首をひねった。




真綿に渡したあの茶封筒の依頼は、時間稼ぎとは言えど

そこまで手の込んだものではなかった気がしたが……



「判った。
今日は帰れないのだな。

嗚呼、荷物は乱歩が……うむ。

新入りの紹介はその後でだな」





何やら混み合った事情により、真綿を遠ざけるのが大ごとになっているらしい。


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