第17章 もういいかい?
電話を切った福沢が、
「……という事だ。
依頼が終わるまでの数日は、帰ってこない。」
ため息をかすかに吐いてからそう言った。
やり過ぎた、と誰もが一瞬思っただろう。
仕事がまた別の仕事を呼んだらしい。
それの積み重ねが、随分事態を面倒なことにしつつある。
「……荷物…ということは、その方は社長の家に住んでいるんですか?」
しかし太宰の前で今の会話は墓穴だった。
突っ込まれない訳がない。
「……嗚呼。太宰。
そこの席の人は……」
国木田が福沢へと視線を仰ぎ、福沢が険しい表情はそのままに
腕を組んだ。
「私の妻だ。」
福沢のその言葉に、ぶふ ––––ッ!と国木田が盛大に吹いた。