第17章 もういいかい?
「入れ」
「はい」
社長に促されて社長室から出たのは痩躯の青年。
意外だった。
斬った張ったの危険な荒事を領分とする武装探偵社が、
人手を補充するまでのものだったか。
何せ国木田は、学問所での数学講師も掛け持ちしている。
(……確かに、『蒼色旗の反乱者』事件だとか『ヨコハマ来訪者連続失踪』事件だとか、昨今増えてはいたがな……)
まあ、それを見越しての武装要員補充ならば納得はいくが、しかし。
(もっと筋骨隆々な益荒男めいた者が来るのかと思っていたが……)
「どうもー」
目の前にいたのは、満面の笑みを浮かべた蓬髪痩躯の青年だった。