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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第17章 もういいかい?


「––––あら、貴女……探偵社の!」


繁華街を通って依頼場所に向かう真綿が

八百屋の人に呼び止められて、足を止めた。



「おぉ、久しぶりよな。」


歩み寄った真綿が、手を振った。

ひらりと白い布がたゆたう。



「もう体の調子は良いのかしら〜?」

「うむ、壮健だ」


ここの繁華街のほとんどのお店が、


真綿が大怪我をして寝込んでいた時に 世話を焼いてくれた方々が営んでいて……

真綿も、重い恩を感じているのだ。



「良かったわぁ。
あの頃の貴女ってば、もう、ほんとぼろぼろで……」

ぱたぱたと手を振る八百屋の彼女が
ああ、そういえばと店の奥に引っ込んだ。




「貴女、これから依頼……なのかしら?」

「そうさ。 何か用事が?帰りがけで良いなら一緒に済ませてくるが?」


話が早くて助かると彼女が言って、真綿に何かを渡した。




「これをね、向こうの町の……ああ、今地図を……」

「否、タクシー移動だから大丈夫さね。」


またしても大判の茶封筒を受け取り、真綿が人件費もついでに受け取った。

真綿がその行動にわずかに眉を顰める。



「先払いはお人好しな人間の顕著な短所さなぁ……」

「いいのよー、貴女はそう言いつつもやってくれるんだから!」


それは福沢の元へ帰ることが約束されているからこそ

義務感で成す結果であって。




「詳しくは中身を見て頂戴ね」

「うむ。 ではの」


嗚呼、多分終業までには社に戻れそうにないと

真綿が息を吐いた。


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