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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第16章 うたかたの夢 …4月1日


夢の中で彼女を見送り、そのまま花畑へと倒れ込んだ。

精力と気力が尽きたのか。



「あーあ……僕の支配下の場所なのに、身体が動かないだなんて」


いつもこの時間はひとりぼっちなんだ。


だから、女の子たちの夢の中を自由に歩き回る。



僕の夢に引っ張り込まれた、名前も顔も全く知らない女の子たちと
ずっと夢の中で喋っている。

でも、その夢を持続させるのには、僕の集中力だとか、そういう類のものをかなり消費させる。




「おはよう、由紀」


仰向けに倒れ込んだ僕の上から、そんな声が聞こえてきた……


よく知っている声だった。

知っているだなんて生ぬるい、知りすぎた声。



嗚呼……すごいかもだ、僕。

ついに夢枕を故意に見ることが出来るようになったらしい。




「由紀?」


「……久しぶりだね……真綿」



これは夢。

生易しい幻影。

一夜限りの夢まぼろし。



見たその時に、忘れることが約束された……

夢だからこそ許される白昼夢。




「僕の『こちら側』の楽園に君が来るだなんて……

珍しいね、真綿」



真っ白の着物にあしらわれた和柄。

あの日々と違うのは……真綿が、濃紺の袴を着ていることだ。




「由紀、外套はどうしたのさね」


「ごめんよ、君とお揃いだったあの外套。
真綿よりも先に微睡んでいた女の子に……あげてしまったんだ」
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