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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第16章 うたかたの夢 …4月1日





「えっ!?」

食いついた私の傾いだ身体を、包み込むように支える彼が笑う。




「意識だけでは、物理的にこれを持ち帰れないけれど…

今、眠っているナオミちゃんの身体を
僕の夢の中に招待すればいいだけだよ。」



それって……

夢の中だけれど、現実で貴方と会えているということですの…?



「どれ、やってみよう。
僕としても初めての事じゃないから、そこは安心してほしい。」


「あっ……」


視界を彼の手のひらによって覆われて、
頭にある花冠と外套の感触だけが敏感に伝わって来る。



「とは言え、君は女の子だ。
さすがに夢遊病みたいにおいそれとは動かせないからね。」



耳元に彼の声が聞こえてくる。

すぐ、とてもすぐ近くに。



「……っと、これはまずい。
すまない、随分と性急な揺り戻しだなぁ……

御粗末にはしないと誓うけれど、どうやら急拵えになりそうだ。
君の身体が浅寝の中にいる。

もうじき覚めてしまうみたいだよ。」



「そんな……っ…、待っ––––!」


覆われた視界のまま、何とか彼の腕を見つけた。

その指先に感じた感覚も、少しずつ薄れていく。



「申し訳ないけど、君はまた僕を忘れてしまう…が、
まあ、さっき言った運命もほど遠くない未来だとみた。」


彼が笑ったのが感じられた。

滲んだ涙が、彼の手によって拭われたのも判ったから今はこれでいい。


だって……きっとまた、会えるって

貴方が言ったから……




「おはよう、ナオミちゃん。



…そうだな、またいつか……

白昼夢の最果てで逢おう。」––––。




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