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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第16章 うたかたの夢 …4月1日


「……ほら、完成だ。」


その声とともに、ふわりと頭を覆った柔らかな感触。

視界にちらつく、彼の纏っていたはずの黒外套が私を包んでいた。



「……うん。そうしていると花嫁みたいだね、ナオミちゃん」


かぶせられた黒外套のふちに彩る、精緻なレースが

夢の中を満たす風に煽られる。



花畑の中、風になびいた黒いベールと白の意匠……



「綺麗……」

「お気に召したようで良かったよ。」


頭に何か柔らかなものがあると思ったら

先ほどまで彼の編んでいた花冠が、私を包む黒いベールを極彩色に飾り立てていた。



真っ赤な薔薇の花と、複雑に編まれたコスモスの花。


季節違いの花が融合した、この楽園でしか作れない世界でたった一つの作品……



「でも……こんなに綺麗ですのに……
この夢から出たら、なくなってしまうのが難点ですわね」


私の言葉に、名も知らないその彼が首を傾げた。



「……持ち帰りたいかい?」


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