第14章 明くる日の戦士たち
「き––––……れい……」
空へと舞って、星空を占めた桜色の透かしがすごく綺麗……
片手で軽くなびいた髪を押さえて
花びらの舞った夜空へと視線をずらす……
「……ふむん?」
夜空をそっと見上げた、私の頭上……
つまりは桜の木の上から
何やら声が聞こえてきた
「ぇ____?」
目の前に聳える、古くて大きな桜の木。
その存在感に呑まれて 気付かなかった…
というよりかは
その人が、意図的に気配を消していたようにも思えますが…
桜の木の幹にゆるく背をあずけて
寄り添うようにして もたれ掛かっている、女性…?
白無垢のような 純白の着物に、この夜空のような、澄んだ紺碧の袴のかさねが
彼女の存在を神聖なものに見せていた。
「何だ、貴様も夜桜見物か?
風流よな」
私の頭上にいる 桜の木にもたれたその白い着物の女性が
こちらを振り向く。
(すごく、綺麗)
美少女という域ではなく
成熟した女性の色香がじわりと滲んでいて
まるで精巧に造られた人形…
精緻な顔の部品1つずつが、これ以上ないほど彼女に合っていて
既視感がした…
私、この人とどこかで……