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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第14章 明くる日の戦士たち




走る。走る。走る。


国木田が走る速度を上げつつ、手にした手帳を開く。

そんな彼の隣には、怪我の痛みなど少しも響いていないような
気配ごと自らを遮断する真綿が駆けていた。



人々の視界の隅で金色が疾風の如き速さで過ぎり

どこぞの紳士の瞳のような…深い紺碧の、目にするのも何だか曖昧なものが駆け抜けた。




「まさか、その場で目撃してしまうとはな」

「全くさね……」

騒々しくなるヨコハマのお昼前。


国木田と真綿は、例の宝飾店騒ぎに立ち会っていた。

偶然の奇跡で、だ。



「おぉ、かなりの健脚よな」

「体育会系か?」

「だろうさ」



逃走したのは二人、主犯と囮だろう。

あとあと合流されてはまた散られるだろうし、この辺りで捕縛しておきたかった。



足音がわずかに聞こえる程度の軽量ぶりで走る真綿と、
一直線に二人へと突っ走る国木田。

片や豹、片や獅子のようだった。




「チ、埒が明かん」

国木田が零した舌打ちと共に、その手が『理想』と大きく書かれた手帳に伸びる。



開けたページに万年筆で何やら書き込み、

そのまますうっと息を吸い込んだ––––



「異能力––––【独歩吟客】!」




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