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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第13章 蹌踉めく唇を重ねて





久しぶりに、冷静さを欠いてしまった。

ふらついた彼女の体を、支えるのに遅くはなかった。



「ナオミちゃん!」


顔色が悪い。



頭を押さえていたし、この前来たときに
ちょっと探りを入れてみて良かった


たぶん、この子はいま月の––––



「三島先生〜?その子、体調悪いならベッドに……」

「いいなぁ、私も倒れたら先生心配してくれるー?」



保健室のソファに座す、学年もクラスもバラバラの女の子たちがちょっとだけ不満そうにしながら聞いて来た。



「するとも。

当たり前じゃあないか。」


男子も遊びには来るけれど
体調不良で来るのはほとんど女の子たちだ。


ナオミちゃんをベッドへと優しく寝かせる。



あとは––––




「三島先生」

「上橋」


と……

保健室のドアが3度、静かにノックされて

いつもの部下然とした菜穂子が無表情に来た。



「授業、次 移動だからもう行かない?」

「あっ、やば!ありがと、菜穂子行こ!」



上橋が体良く女の子たちを諸共連れて行ってくれる。

先ほど連絡を入れておいた。




高等部の子たちに倣ってか

中等部の女の子たちも、手を振って保健室から去ってゆく。



「説却と」



惜しいようだけれど、

楽園で微睡むのはもうお終いだよ




僕の、この生易しくて美しいだけの白昼夢で

異能力の夢からナオミちゃんを醒めさせてあげないとね。






「それは恋だ」


夢の中のキミに言おう。



それは、僕の異能が滲んで周りに出ているもので


君の想いは本物かもしれない、でも

そうなった経緯は……偽物なのだと。




この楽園の白昼夢から

君を解き放ってあげなければ。




君がその夢から覚めるとき


君の、僕への想いは

狂愛に為るべくして為らなかった


そのひと時の淡い想いは、消えているから––––




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