第13章 蹌踉めく唇を重ねて
「えぇ……
急に、副担任が復帰してきたり…とか。
三島先生も菜穂子ちゃんも、何だか同じ頃に来て……」
夢の中。
本当にここは、白昼夢なんですね。
「あの、いきなりこんなこと言うのも
変かと思われるかもしれませんが……」
「うん?」
声の主が、首を傾げたのが気配で判った。
「最近、保健室に、非常勤の新しい先生が来たのですけれど…
私が行けばいつもいつも
違う女の子たちがその先生と話していて……」
騒いで、それでもその先生に甘えている
女の子たちの声が、何故か妙に苛ついて
ナオミちゃん、と学年の違う私を呼んでくれて
何故か優越感を感じていた
「お昼だって、あの先生は高等部科なのに
中等部の方からの女の子たちからも
お菓子とかいっぱい貰っていて……」
私だって、三島先生と話したいのに。
私だって、休み時間に行きたいのに。
「お兄様には、こう言われたわ?
『ナオミももう少し素直になッたら?』と……
私、これでも自分には素直なつもりでしたのに」
気付けばそこは夢の中だった。
意識ごと吸い取るような、澄んだ蒼穹。
白昼夢の楽園だった。