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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第2章 静謐なる暗殺者





「お疲れ様じゃのー、真綿?」

「紅葉」


くすくすと着物の袂を摘みながら笑うのは、
五大幹部が一隅、尾崎紅葉だった。





五大幹部会 終了後、

臙脂色のカーペットを微かな足音すら立てずにしなやかに歩く真綿へと

煌びやかな着物を来た紅葉が歩み寄る。



「一年も席を空けていたものだから、口に出さずとも
私(わっち)も中也も そなたの身を案じておったぞえ?」



今の紅葉の言葉から出て来た中也…とは

次期 五大幹部候補、今は準幹部である中原中也のことだ。




「そうかよ、あとで会わねばならないな。
妾とてむざむざ弟子の息の根を摘むのは嫌さね。」



中原中也の上司であり育ての親は紅葉なのだが

暗殺などの戦闘面に於いて、面倒を見ているのは真綿である。




「此度の西方任務とやらも

中也が適任ではなかろうか……とは思わなかったかよ、紅葉?」



真綿は薄く笑ったものの

尋ねはしたが、答えは求めていない笑みだ。




「しかして…鷗外殿がそれ以外方法がない…などと言うのなら

それも、仕方ないであろ?」


「嗚呼」




中原中也。

太宰治との相性が悪く、いつもいがみ合い、嫌い合っている。

しかしそんな彼の相棒は、他でもなく太宰治。




そんな彼の異能力は、【汚れつちまつた悲しみに】。

周囲の重力の力場を操る。



対して、真綿が意識せずとも


一番に可愛がり、手を焼いている彼……

太宰治の異能力は【人間失格】。



その異能効果は、自身が触れた物の異能力を無効化するという、一種のチートでもある。



戦闘面に使い道はないため、真綿がよく面倒を見ているというわけだ。



––––と、そこへ。




「…ン? 真綿。帰って来ていたのか」

「ふむん、中也か。丁度良いところに来た」




二人の話の中心にいた、中原中也が向こうから歩いて来た。




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