第13章 蹌踉めく唇を重ねて
次の日も、次の日も。
保健室の前の廊下を通れば、女子の黄色い声が聞こえてくる。
そこに混ざりたい、とは思わない。
元々保健室通いじゃないですもの。
ただ、あの女の子たちも
先生相手によくやりますねとは思う……
菜穂子ちゃんには、時折お兄様とお弁当を食べるときに会う。
教室では食べていないみたいで
保健室に行っているのかしら?とは思ったけれど
昼休みに保健室を覗けば、ほとんど女子たちが占領していて三島先生といますし……
では、一体どちらへ……?
(頭……痛い……)
この日は、いつもとは違っていた。
偏頭痛が酷くて、吐き気もする。
何でだろう。
今日、何かしましたっけ?
駆け足で保健室へと向かう。
「先生〜!」
「ねえねえ、お菓子あげるよ先生!新発売なんだって!」
嗚呼、また……女の子たち……
ごめんなさい……
その声、すごく頭に響くのですけど……
「先、生……」
「ナオミちゃん!」
姦しい女の子たちの声を 何とか割って
三島先生に声をかける……
嗚呼、甘やかな優しい……
涙が出そうになるような、声。
保健室に置いてある 花々の鉢植えが
最後に見えたものだった。
倒れる、と思ったときには
私の身体は誰かに支えられていた。