第12章 孤独の剣士との因果
『異能力者を、救う』。
荒唐無稽で、叶えるには値しない程の
長く、永く 続くであろう辛苦の道。
しかしその言葉には、世界中に散らばる異能力者を救うという
無責任にして責任重大なものが含まれているのだ。
「そんなもの____貴様らが為す事でもなかろう?」
「そうかもしれない」
真綿の妥当な言葉に、福沢が頷いた。
ただ、それでも、いつか誰かが為す事なのかもしれないのなら
『今』に前倒しして……
自分がした方がよっぽどいいのではないか、と____。
「……愚かだな」
「そうかも、しれないな」
真綿の嘲るような笑みにも、福沢は苦笑で返した。
自分が痛いくらいに一番判っていると言いたげな笑みだ。
「ふむん……
まあ、貴様らの言わんとしていることは判るが…の」
真綿が、何やら考え込むように手を組んだ。
そして、はあ……と一息吐いて。
「……提案とやらは」
「…嗚呼、今の真綿殿は、あるじはいない身だろう?
ならば」
福沢が真綿の目を見据えた。
彼女の、無垢でありながらも 空虚な黒瞳と
福沢の水銀色の瞳がかち合う。
「……私に仕えてみる気は無いか?」