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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第12章 孤独の剣士との因果


『異能力者を、救う』。



荒唐無稽で、叶えるには値しない程の

長く、永く 続くであろう辛苦の道。



しかしその言葉には、世界中に散らばる異能力者を救うという

無責任にして責任重大なものが含まれているのだ。




「そんなもの____貴様らが為す事でもなかろう?」

「そうかもしれない」


真綿の妥当な言葉に、福沢が頷いた。



ただ、それでも、いつか誰かが為す事なのかもしれないのなら


『今』に前倒しして……

自分がした方がよっぽどいいのではないか、と____。




「……愚かだな」

「そうかも、しれないな」


真綿の嘲るような笑みにも、福沢は苦笑で返した。


自分が痛いくらいに一番判っていると言いたげな笑みだ。




「ふむん……
まあ、貴様らの言わんとしていることは判るが…の」


真綿が、何やら考え込むように手を組んだ。



そして、はあ……と一息吐いて。




「……提案とやらは」



「…嗚呼、今の真綿殿は、あるじはいない身だろう?

ならば」



福沢が真綿の目を見据えた。


彼女の、無垢でありながらも 空虚な黒瞳と

福沢の水銀色の瞳がかち合う。





「……私に仕えてみる気は無いか?」
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