• テキストサイズ

威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第12章 孤独の剣士との因果


「貴公は暗殺面で色事にも手を染め、必要ならば

どのような殿方とでも肌を合わせるとは聞いていたが–––––」




困惑と驚愕の混じる美貌は、薄っすらと赤いようにも見えた。



こちらの表情の方が、いつもの凛々しい顔よりも

年相応に似合っていて可愛らしい____福沢は素直にそう思った。



ただ、そんな露骨な口説き文句に落ちるほど 花房真綿は乙女ではないことも判っていた。



「……不意打ちは苦手か?」



そう少々 意地悪げに微笑んだ福沢に

真綿が「いけしゃあしゃあと……」と呟いた。



それは福沢自身も理解していた。




だが、不意打ちだったとはいえ

卑怯な手管の運び方ではなかったはずだ。




実際問題、自分の立場に真綿がいたのなら

もっともっと上手くやっているのだろう。



こんなその場限りの手が使えたのは、不覚にも真綿が情に厚くなっていたから。

素人がすれば逆に手玉に取られ、舌を出して絡めれば毒を塗り込まれていたのだろう。




「その剣技、見事だった。」



「福沢殿……、ちょっと暫くは貴様を許さない…

いや、許すとて何を許すのか判らないが、とにかく何かは許さない!」



激昂した彼女を立ち上がらせ、傷が開いていないかを手早く確認した。

大丈夫そうだった。



真綿が 自分の限界に気付かない訳もないのだし、

傷が開いたら即、戦いをやめていただろう。




「却説、真綿殿。

私の提案に乗る気はないか?」


人が悪い、そんなのは福沢も自覚あった。




「……提案次第だっ!」


顔を背けた彼女は、怒っていた。


否、怒っているとはちょっと違うか……



「私と乱歩と共に……

異能力者を、救わないか」
/ 686ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp