第12章 孤独の剣士との因果
「近代日本の、ここ最近異能力者への配慮は
目覚しいものだよね。
他国に比べてヨコハマもほら、産業革命じゃない、今」
乱歩の言葉と先の会話がどう繋がるのか
いまいち判らないところだが、真綿が視線だけ頷いた。
真綿にとって、この手の話は無視し切れない…
(迷惑なくらい、工場の排気する煙が由紀の身体に障る)
真綿のあの起因性異能力によって大怪我を負わされた三島由紀夫。
彼が負っている怪我に、近代日本のこのガスは有害過ぎる。
だからこそ、あの彼は自身の病室である
あそこの楽園に引きこもっているわけだが……
「あちらさんの幕僚の将校がさ、暗殺されたよね。」
その言葉に、真綿と福沢の理解が及んだ。
将校を暗殺したのが、他でもない真綿だから。
「そこで方針が変われば良かったのに、英国とのシナジーで
日本も競ったりしちゃって、
中々 異能力者への良い方向の道は開けないわけだ」
何が言いたいのか。
ここまでくれば、察しのいい真綿には判る。
「それでね、僕と社長……福沢さんは
異能力者を寄せ集めて、『武装探偵社』なるものを組織しているんだよ。」