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威 風 堂 々【文豪ストレイドッグス】R18

第10章 スイートセンチメンタル …3月14日


「はあ……。

とは言え、三島幹部の怪我は深傷なのですから…………」


菜穂子の言葉に、三島がははと苦笑した。




「勿論、承知しているさ。
僕の身体のことなんて、僕が良く知っているからね」



隣を歩く彼の声は、私の頭一つ分くらい上から聞こえる。

……出過ぎた真似…でしたか…?



もしも怪我を治せる異能があったとしても


三島幹部は、治すように頼むことはしないという…

これは、真綿様への贖罪なのだという



そんなの、関係ないと思う……だなんて言ったなら


(流石の三島幹部でも……きっと、私のこと、煩わしく思う…)


今でも自覚をもって、三島幹部を好いていることに誇りを持っているというのに

そこまで突っ込んでしまったら…


(怒らない訳ではないですよね…)


決定的に人を傷付ける言葉を、言わないかもしれない

女性には優しくが三島幹部の矜持だから…


でも、温厚な三島幹部にだって、希薄でも憤怒くらいはある



「あ。
そうだった、上橋」


「は、はい!?」


私が云々唸っていると、唐突に呼ばれた。

うぐ、今…声が裏返っ……


「僕は今夜はもう帰れそうにはないからね。

これを今日のうちに渡しておきたい」


三島幹部のその前半の言葉に気分が落ちる…

また……ですか……

部下である私が何処の、誰かも知らない

何処ぞの馬の骨…こほん、もとい女性に求められて行ってしまう幹部を好きだなんて



「…上橋?」

「っあ、も、申し訳ありません」


ぱっと表情を変えた。

そんな私の目の前に差し出されたのは、咲き乱れる花束



「綺麗……ぇ、え? これ、貰ってしまって宜しいので…?」

「いいとも。 今日はホワイトデーだろう?
海外はお菓子よりも花や手紙が主流なのさ」


一気に身体が熱くなった。

鼓動も速くなって、何故か喉に熱くて絡みつく何かが詰まる……


「嬉しい…… あれ、でも、これ……
これから行かれる女性にあげるものなのでは…?」

「君のは特別。」


唇の前に指を立てた三島幹部の顔が

星空の下で、怪しい色気と雰囲気を作り出す


「嬉しい……嬉しい…!
この花、枯らさないようにしますね!」

「うん、是非」


いつもは無表情で能面みたいだと揶揄される菜穂子が
笑顔でそう言った
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