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日章旗のデューズオフ

第6章 SSS キャラ×男主:電子作品篇(―/27日更新)



★TASタケマル

「タケマル先輩」
「是正? どして、こさ居るんだ?」
工房を覗き込むと先輩がちょうど鞄を開いて漁っているところだった。俺は愛しさから込み上げる笑みを隠しもせずに近付いて目の前に包みを突き出す。見覚えのある柄に合点が入ったのか、みるみる内に笑顔を湛えた彼は献上品を賜ったかのような手付きで『それ』を受け取った。
「助かった……昼飯抜きさなるどごだった。是正の弁当、楽しみにしてたから食べ損ねたぐねがったんだ」
「大袈裟。タケマル先輩が望むならいつでも作って差し上げますから。あ、そうそう、また下着が裏返ってましたよ。裏返して良いのは靴下だけって言いましたよね。それはそうと……お味噌汁は豆腐ですけど構いませんか」
適当にあしらいながら彼専用の味噌汁ボトルを取り出しつつ要件を捲し立てていれば、とつぜん二の腕を掴まれて先輩の目の前に引き寄せられた。眼鏡の奥に光る仄暗い欲望に背筋が急に冷え込む。
「せん、ぱい?」
「めごい……やっぱり好きだ」
「え?」
「俺ど結婚してぐれ! そんでよ、昼と夜と、嫁ごどして俺の為さ尽ぐしてぐれ!」
「よ、夜?」
「もちろん、セッ――……」
その瞬間、真横からタロスの痛烈な回し蹴りが飛んできて、タケマル先輩の頭へクリーンヒットする。飛び出し掛けた言葉は低い悲鳴へと成り代わり、俺を引き寄せていた手は現れたヘパイストスによって叩き落とされていた。

★TASシンノウ

体育の授業で擦りむいた膝を見詰めていると勝手に涙が滲んでくる。閉鎖領域外の傷は難儀だ。俺がこの世界にやってきてからの当たり前は閉鎖領域有っての怪我だったせいか、こうして生身に負った傷の痛みには滅法弱かった。
シンノウさんは消毒液を片手に近寄ってくると、俺を優しく抱き上げて自らの大腿を跨がせた。背面から伝わる先生の温もりに少し落ち着いてくれば、幼子を宥めるかのような甘く、低い声で囁いてくる。その間に脚を掴まれて、患部がゆっくりと二人の眼前まで持ち上がった。
「無茶をすればこんなことじゃ済まないんだぜ?」
「……アプリがありますもん」
「咄嗟にそうもいかない時も出てくるさ。今の内に痛みを覚えて自愛してくれよ」
「っ~!」
「おっと暴れるな。せっかく君を抱き締めていられる絶好の機会だ。この際、堪能させてもらうとしようか」
「セクハラですせんせー!」

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