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日章旗のデューズオフ

第6章 SSS キャラ×男主:電子作品篇(―/27日更新)



★TAS本居シロウ(前頁シロウ視点)

彼がトウジに抱き寄せられる形で身を寄せる姿を見て、魔書を持つ腕がドクンッと脈打った。すっかり心を許した風に瞳がとろんと蕩けている。聞こえてくる台詞の不穏さに嫌な汗が止まらない。『傍に居る』『離さない』『愛してる』。いつの間にそんな関係に発展したんだろうと奥歯を噛み締めるが、幸いにも是正自身はきょとんとした表情だ。
(……トウジ、最初はあれだけ突っかかってきたのにな)
俺が目を離した隙に何時だって彼は数多の人間を魅了する。傍で力になれるだけで良いなんて甘い考えは、日に日に増える恋敵のせいで霧散している。許せない。初めから彼を好きでいたのは俺の方なのに。

★TASアイゼン

「アイゼン、待って」
「なんだ」
アイゼンとショロトル立ち会いの元で執り行われたギルマス同士による定期情報交換会は穏やかに終わりを告げた。各々が書類を片付けながら簡単な歓談や連絡事項を交わしている中、自然とアイゼンへ足が向く。というのもこの時間、ずっと彼のネクタイが曲がっていたのが気になって仕方なかったからだ。
呼び止めた俺を嫌そうに振り返るアイゼン。仕方ない、彼が俺を苦手に思っているのは承知している。でも普段から身なりをきちんと整えている彼が、ましてや風紀委員である彼が服装を乱したままでいるのは彼の為にもならないはずだった。だから「ごめんね」と断りを入れてネクタイを摘み、くんっと軽く引っ張ってアイゼンを屈ませると、驚く彼を他所に右肩上がりの装束具を解いたのだった。
「曲がってる。いま結び直すから動かないでね」
「うっ……うっ……」
「俺に関わりたくないのは分かってる、でもこのままオピオーンの前に立ちたくないでしょ」
「き、貴様……っ!」
アイゼンの為、オピオーンの為と嘯きながら何とか形にしてあげる。完了の合図のつもりで肩を軽く叩いて見上げると、鼻先三寸の距離にある厳しい顔は紅潮しており、額から滝のような汗を溢れさせていた。
「大丈夫?」
「き、ききき貴様っ、わ、わわわ私を誑かそうなどと、相も変わらず不埒なヤツ……ッ!!」
「誑かしてないよ」
「新婚さんがやるヤツだろう、今のはっ! 貴方ネクタイが曲がってますよほらほら仕方の無い方ですね私が直して差し上げますの流れだろう、今のはっ!」
「妄想が具体的過ぎてもはや願望に聴こえる」

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