第5章 SSS キャラ×男主:漫画作品篇(―/2日更新)
★GK杉元佐一(同衾主続き)
「ん! この味噌汁、味噌の量の割にダシの香りが鼻に抜けてしっかりと味を感じる! 具にも味が染みてて美味い!」
「さすが杉元さん。お上手ですね」
食リポもおべっかも。尾形は食べたって満足そうな表情をするだけでうんともすんとも言わないから、改めて言葉にしてリアクションされると素直に嬉しい。焼き魚の焼き方が絶妙だとか添えられた大根おろしの口当たりの良さとか、食べたもの全てに感想をくれる杉元の姿に胸の中が擽ったくなってきた。
「卵焼きもすっごく美味しい。苗字くん、料理が上手いんだね」
「褒めて貰えて嬉しいです……ありがとう」
思わずふにゃっと頬を緩めながらお茶を汲み、少し俯きながら杉元と尾形に湯呑みを差し出す俺は、杉元が胸を抑えて目元を紅潮させる姿、一瞥した尾形が胡乱げな表情で彼を睨む姿を知らない。
★GK杉元佐一(同衾主続き)
「名前くん、お風呂上がったよ」
「おかえりなさい、杉元さん」
杉元がやってきてから早くも三週間、杉元はすっかり部屋に馴染み、現代の生活にも馴染んでしまった。尾形との失敗を活かして二人にはもう好きに過ごして貰っている。蛇足だけど、お宿ごっこが失敗に終わったことを尾形に謝ると、漫画では窺えなかった優しげな表情であっさり許されてちょっとキュンとした。なんか悔しい。
「杉元さん、髪乾かしますからここ座ってください」
「あ、あのさ、名前くん」
「はい」
髪から雫を垂らす杉元をソファまで誘導してドライヤーをコンセントに差していると緊張したような声音で名前を呼ばれる。そういや、いつの間にか苗字から名前へと呼び方が移ろっていて彼の人懐こさには驚かされる。
見上げると杉元はソファには座らず肩をいからせて呼吸を静かに荒らげている。どうした具合悪いのか、と慌てた俺は杉元に近付く。途端、鷲掴まれる二の腕、寄せられる顔。
「お、俺の事は佐一って呼んで」
「……名前で?」
「名前で」
「……さいち、さん」
「ぐはっ!」
膝から崩れ落ちて横臥するように倒れる巨躯。ボールを集めて願いを叶えてもらう漫画で見た事あるポーズだな。杉元は両手で顔を覆って身を丸めたかと思うと「かわいい、かわい過ぎる、どうして」と呟きながら身悶え始めた。キッチンから出てきた尾形がドン引きした面で一部始終を見下していた。
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