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日章旗のデューズオフ

第2章 ライナー・ブラウン(進撃/疲れない恋の仕方)



預けていた体重をめいっぱいライナーに傾けると、それに気付いたライナーが切れ長の眦を僅かに丸くする。お前だって話の腰をよく折っていたのだから、俺が急に甘え出したって色々言わないよな?
――そういう意図を含めて少し睨めば、丸めた眦を再び細めてから湾曲させていた。くいっと上がる片眉と悪そーににやついた口許が雄くささを演出していてちょっと怖いけど、格好良い。目の前の太く張り出した僧帽筋に頬をすりすりしてしまえばライナーの呼吸が急に荒々しくなる。欲求不満が過ぎるだろう、我慢させてるのは俺だけども。

「ライナー、このまま聞いてくれないか」
「なんだ」
「今までごめんな」
「なぜ謝る必要が……まさか浮気か」
「違う。ライナーだけがだいすき」
「お……おー」
「俺さ、ジャンとか……ベルトルトもマルコも、皆のこと、すきだよ」
「……是正」
「でも、その、さ。抱き合ったりキスしたり……その先とかしたいのはライナーだけなんだ」

言い終わるなり、ライナーの強ばっていた顔が急激に綻んで、そして急激に真っ赤になった。色白の肌が上気して汗ばんでいく姿に愛しさがむくむくと沸き立つ。こいつ的には俺がこういう反応をした方が喜ぶんだろうけど、今日くらいは俺に花を持たせてくれよ。
ふわふわのプラチナブロンドにそっと指を通して耳裏を掻き上げてあげれば、大袈裟に肩を戦慄かせた。でもやられっぱなしは矜持が許さないのか、肉食獣が獲物に噛み付く瞬間の顋のような素早さでその手を捕捉される。俄に擦られる内手首の擽ったさに吐息が漏れた。

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