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日章旗のデューズオフ

第18章 【拾伍】炭治郎&炎&水(鬼滅/最強最弱な隊士)



俺が身を屈める前から、脛に頭を擦り付けては「うなうな」鳴いている。疲れも吹き飛ぶほど可愛い奴らだ。戸棚の奥に隠してある乾燥煮干しを二尾摘み上げて目の前に翳すと、直ぐさま齧り付いて、はぐはぐと一生懸命に味わっている様子。
「ふたりとも、ご苦労さん。今晩も忙しいから夜間警邏が出来ないんだ。鴉とお前達で邸周辺を見てくれないか。異常があったら些細なことでも随時報告だ。出来るな?」
毛艶の良い眉間に人差し指の関節を当てて殊更優しく撫でてやると、喉奥をぐるぐる鳴らしたふたりは輪唱のように元気良く鳴いてから八艘飛び宜しく疾駆していく。
「嗣嶽」
後顧の憂いを絶った後は己付きの鎹鴉の名を呼ぶ。號達と同じく勝手口の隙間から入り込んだシガクは、上がり框の板張りを長めの趾で掴みながら恭しくこうべを垂れた。
「名前様、御用命デショウカ」
「虎號と三毛號に警邏を頼んだ。お前も野良烏達を指揮して周囲の警戒を強めてくれ。昨晩、妙な気配があった」
「観察対象デスカ」
「いや、それについては始末した。だがまた似た様なもんが現れるかもしれん。地表を素早く走る奴だった。見掛けたら上手く號達と連携して潰せ」
「承知致シマシタ。名前様モ、上意ヘノ接待励マレマセ」
「おう」
濡れ羽色とは良く云ったもので、嗣嶽の上背を一撫ですれば金属質な光沢が波打った。外の帳を覆う霧雨で羽根一枚一枚が湿気を帯びて、益々艶めいているのが分かる。悪天候の中の任務である事を静かに詫びると「そのような事を気にする必要は無い」と鰾膠も無く返された。

***

「名前! 食器を下ろしてきた! 何か手伝う事は有るか!」
嗣嶽を飛ばして暫く経った頃、再び来訪者が在った。手擦れ艶の美しい板台の上へ整列させた善哉から顔を上げると、笑みを刻む杏寿郎さんが勢い良く暖簾を跳ね飛ばした瞬間を目撃する。焔の羽織と深藍の暖簾が不離一体の如く縺れ合い、盤根か錯節か、非常に複雑な括れを晒していた。
さて、彼の手元には十人以上の食器を積み重ねた状態の長盆と二段のお櫃。言葉の通り、空になったものから運んで来て下さったらしい。御足労賜った感謝を述べつつ洗い物を受け取る為に板台を回り込むと、杏寿郎さんの背後で緑黄色系の万華鏡が転じるような存在が身動ぎした。

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