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日章旗のデューズオフ

第11章 【捌】悲鳴嶼&宇髄(鬼滅/最強最弱な隊士)



利他の心を有する男の我欲が一身に注がれるという仄暗い悦びに身を焦がす日が来るなんて……と己の卑しさを嘆く暇が有るのならば、全身全霊で享受したい。自然な流れで肩を押されて仰向けに寝かされつつ、胸元が密着するように伸し掛かられても疑問に思わないくらいは、心が満たされている。
「唇、吸っていいか」
「え……、あぁ、房中術の類か……? 陽の気同士を混ぜ合わせるだけじゃ痛みが和らぐか分からねぇけど……。試してみるのか……?」
「ッは。そおそお房中術房中術。まだ腕が痛むから頼むわ」
「そうか、分かった。俺で役に立つなら。どうすれば良い?」
「……口開けて、舌ぁ伸ばせ」
「ん」
言われた通りに唇を割って喉奥を曝け出すと、恍惚の表情を浮かべながら派手な音で生唾を嚥下した天元が、獲物を前にした肉食獣も斯くやな勢いで咬み付いてきた。
唾液で光って糸引く肉厚な舌がねっとりと俺の舌に絡み付き、あっという間に口内を侵される。俺のじゃない粘膜の塊が、頬の内側や上顎を舐め啜って暴れ回っているのが不思議だ。
「ふ、……ぅ、」
「……ん、……ッ」
陽の気を送らないとと思うのに、どちらの声か分からない吐息混じりの低い喘ぎが鼻腔を抜けるように響く度、良からぬものを聴き続けている気がして、集中力が途切れてしまう。
房中術とはいえ口を吸うなんて初めての事だが、唇を触れ合わせたり適度に啄むだけだと思っていたのに、こんなに延々貪られ続けるものなのか。あわいを一度も離してくれないから息が浅くなって仕方なかった。
「んっ……、ぅは……、ッま、まって、苦し……ッ」
「っはぁ……、我慢しろ、こっちも限界なんだっての」
「これ本当に、房中術、なんだよな……?」
「余計なこと考えんな、頭ん中は俺の事と、気持ち良いでいっぱいにしときゃあ良い。おら、もっかい口開けろ。あと、しっかり絡ませろ、舌」
「わ、分かった……」

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