【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第2章 別離。
ローside
* * * *
「………かは…っ、」
「………………、」
シェリルを、押さえつけて。
自分に対するイラつきに、身を焦がした。
痣の進行は…、知らない間に、こんなにも広がっていたのか。
彼女は俺に、ずっと黙っていたのか、隠していたのか。
今起きている…痣の侵蝕は、明らかに突発的なものではない。
それは、まだ未熟ながらも医者である、俺の目からも明らかに判断できた。
────現在、治療法は………、
「────…、」
「……やだ、ろ…ぉ、…こ、わい………っ、」
「黙れ…、」
────ない、
「黙れって、何度言ったら分かるんだ、?」
「─────ひっ、」
(なんで…、叶わない、?)
俺は、首に力を込めた。
口からだらしなく、涎を垂らす彼女。
その、足掻くのに必死な表情と、潤んだ青色の瞳だけで、十分だった。
ずっと…3年間、抑え込んでいた「理性」を手放すのには、十分すぎた。
「…シェリル……、」
「……な、に………ロー、? ─────、」
「─────許せ…、」
今から俺は、お前をひどく傷つける。
そう言い、俺は、剣を鞘から抜き取った。
床に仰向けに倒され、首を絞められている彼女は、信じられない、といった様子。
剣を床に突き刺し、首から手を放す。
「…ひっ、ぁ、…やぁああッ、いやぁっ、ろぉ、!!」
「…耳障りだ……、」
────何度言ったら、お前は理解するんだ??
シェリルの両手首を、片手でグッ、と掴み、押さえつける。
気づけば、彼女の痣の侵蝕は止まり、元の、左腰部分に戻っていた。
だが、首から頬にかけての血管は、ひどく浮き上がっている。
「……気を楽にしろ、」
────すぐ、終わる……、
剣を、彼女の、重なった…両手の平の真ん中に、突き刺した。
─心が壊れた音がした、─