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【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】

第2章 別離。



シェリルside
*  *  *  *


『あァ…、見つケたぞ、小娘』


体が動かない。

ローがいない、どこにも居ない。
10数メートル離れていたはずの男は、すぐ、目の前にいた。
たらり…っと、冷や汗が流れる。


『フフフッ!! …そう、警戒するな、』
「───────ひ…っ、」


すると、男の姿は変わった。

目の前に現れたのは、殺した男…。
暴走ともいえる、影の能力で殺した、天竜人。
だら…っ、と口から、身体から、血を流して立っている。
呼吸がおかしくなる。
涙目になり、視界が歪んでいる。



「***、****」



よくも、殺したな。

亡霊の言葉に、怯え、身体を強ばらせる。
けれど、その男に指先を向け、泣きながら、笑った。
恐怖心なんて、すでに殺意に変わっていた。


(消えろ、消えろ、消えろ、きえろ、きえろ……っ、)



「─────きえろぉおおおおぉお、ッ!!」



指が鳴った音、乾いた音。

剣の形を模した影は、男の身体を貫いた。
びちゃっ、と、顔に大嫌いな「赤色」が降りかかる。
私の青色の瞳が、真っ赤に塗りつぶされていく。


「はぁ…、はぁ…っ、!!!」





────────おい…、





背後から、首の横から、手が伸びる。

手のひらはそのまま、私の口を塞いだ。
空いている、片方の手は胴体を、ガチリ…、と掴んでいる。
横目で見えたのは、あの、背の高い、ピンクの上着を羽織った男…。


ふと、前方には、ローの姿。



(ろぉ…ッ、ロー、ろぉーっ、!!)


私を見つめる表情は…。

まさに、悲しいほどに、「無」だった。
私は泣きながら足掻くけど、何の効果もない。
影の黒い手が、私の両手を押さえつける。


『シェリル・ウェルスト…っ、』


耳元で、低い、声が囁いた。

不気味なその男の声と同時に、影は喉を掴む。
ぎり、ぎり…っ、と、軋む音が、耳の奥に響いた。



「────────ぃっ、」








い゛やあ゛ぁ゛ああぁ゛ああ゛ぁ゛ああ゛あ゛──────ッ!!!









―そんな目で見ないで…、―
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