【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第2章 別離。
(血族なんて、嫌なだけだ…、)
病の進行を、遅らせることができても。
大切な人…、好きな人と共に時間を歩むことができない。
老死するのだとすれば、先に逝ってしまうのは、相手の方。
若さを保ったままの私は、残されるだけ。
(でも、そう考えれば…、)
この病があるから、共に死ねるのか。
彼が死んで、それと同じくらいに、病が末期になると考えて…。
一人残されて、寂しく死ぬことはないのか。
矛盾している。
普通の人間と、時の流れが遅い…。
簡単に言えば、寿命の長い、ウェルストの血族。
身体を蝕み、徐々に命を削っていく病。
(ウェルストでなければ、既に死んでいた…)
心底、ウェルストで良かったと思う。
そんな考え事をしながら、彼の手を握って帰る。
その時、先に前を歩いていたローの足が止まった。
いきなりだったから、私は彼にぶつかって、フラついた。
「ロー、どうし────、」
「誰だ、お前ら、」
ローの、ひどく低い、怖い声。
ビクッ、と私の体は震え、握っている手に力が入った。
恐る恐る、ローの前方にいる人物に目を向ける。
とても、背の高い男がいた。
―あァ…、見つケたぞ、小娘―