【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第2章 別離。
シェリルside
* * * *
ポツリ、ポツリ、と雨が降る。
いつの間にか、ザー、という音に変わっていた。
比較的、外に近い場所にいた私たちは、すぐに中に逃げ込む。
本屋も、戸棚を店の中に少し移動させる。
寒さもあり、私は小さく、くしゃみをした。
「…そろそろ、帰るか…」
「あ、うん…!」
彼は、傘をさして歩き出す。
その後ろを、私は、親の後ろをついて行く子供のように、歩く。
ローは時折、チラッ、と、後ろに私がいるか確認をする。
(迷子にならないか、心配なのかな…、)
ローってば、親みたい…。
大丈夫、とも、言うかのように、私は彼の空いている手を握った。
今日は何も、医学書を買っていないから、良かった。
久しぶりに彼が、夜更ししなくて済みそうだ。
「寒いねー、」
「そうだな。…今日の飯は何だ、?」
「シチューだよ、温かいのがいいなって思って」
「…いつもの、あれは、?」
おにぎりも、ちゃんと作ってるよ。
そうか、と言い、ククッ、と喉の奥で笑う。
周囲から見たら、恋人同士に見えなくもない、そんな状況。
まだまだ子供じみた私に、彼は合わせてくれている。
年齢的な問題ではない、精神的な問題だ。
(ローは13歳、私は16歳かぁ…)
年齢に似合った、思考がしたい。
いつか、私と彼が同じ年齢になるとして、それは今から、7年後の話だ。
つまり、19歳、すぐにローは成長し、大人になっていく。
翌年も、私たちは同じ年の、20歳。
その次の年で、私たちの時間は、違っていく。
ローは21歳で、私は20歳のまま、変わらないまま…。