【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】
第2章 別離。
ローside
* * * *
出会った頃は、泣くばかりだった。
『ロー!!』
シェリルの、にこやかに淡い笑顔。
時間が経つたびに変わるのは、彼女だけだ。
俺は、あの時と何も変わらない。
どんなに大きくなったって、アイツの背にはまだ届かない。
(治療法が、見つからないんだ…)
こんなに、探しているのに。
彼女を失ってしまうくらいなら、体調を崩すくらい、どうってことはない。
最近は、毎晩同じ悪夢を見るようになった。
死んで、冷たくなったアイツの身体を抱きしめる…、そんな夢だ。
(縁起でもねェ…、)
シェリルを失うのが、怖い。
今のところは、あの痣に触れれば痛い、といった状態だ。
近親者に感染することも、ない。
2ヶ月に1度、定期的に検診しているが、…何の兆候もない。
けれど、数ヶ月前に、調べている内に知ったことがある。
―――――黒い痣のような、病。
―――――痣は、徐々に身体全体に広がり、
―――――その人間の寿命を蝕んでいく…。
―――――今現在、治療法はない―――――、
『―――――――ッ、!!?』
あの時のショックは、耐え難かった。
シェリルの笑顔が脳裏に浮かび、それが、砂嵐にかき消された。
込み上げてくる感情を、ぐっ、と歯を食いしばって、飲み込んだ。