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【ONE PIECE】 淡く、儚い、モノガタリ 【ロー】

第2章 別離。


シェリルside
*  *  *  *

─3年後─

ローは13歳、私は16歳になっていた。


「じゃ…、行ってくる、」
「行ってらっしゃい!」

笑顔で彼を見送った。

人並みの、年相応の常識は身についた。
いつしかローの部屋は、私の部屋になっていた。
彼はいつも、医学書を読みふけり、ソファで眠る。
目の下には…深い隈が出来ている。


(……今日は、雨降りそう、)


雲行きが怪しい。

彼は毎日、本屋に行っては、新しい医学本を買ってくる。
今や、まだ子供だというのに、街の名医とも言われるほどの腕。
今のままでも十分なのに、なぜ、そんなに医学本を漁って、医学を学ぶのか…。


(……もう、いいのに…、)


私の病を治すため…。


ウェルスト、という血族だったことが幸いしたのか、病の進行はとても遅い。
2年に1歳をとる、成長が遅い、特殊な血族。
未だ、治療法のないこの「病」は身体を蝕み続けていた。




『……う゛、ぅう゛っ、』


年に1度は、痛む、痣。

右腰…、…腹、あたりに位置している黒ずんだ痣。
必ず、彼が外出している間に痛むのが、救いだろう。
ローに心配なんて…、させられない。


(これ以上、無理なんてさせられない…っ、)




必死に、治療法を探す、ロー。

彼の毎日を、私がこれ以上、奪うわけにはいかない。
こんな、痣の痛みだって、よく考えれば、マシだ。
椅子から落ちて、頭を打った方が、よっぽど痛い…。
家の玄関のドアを閉め、家事にとりかかる。


「…………あ、雨、」

(ロー、傘持って行ったかな…?!)


彼の傘を左手に持ち、右手で、さした傘を持つ。
そして、彼がいつもいる本屋に向かった。




─暗雲は、消え去らない、─
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