第1章 第1セット。
『そんなツレナイこと言わないでさー』
『俺と遊ぼーよー』
『無視すんなよー!』
『お喋りタマちゃーん』
こいつがトークする度に振動するスマホを投げつけてやろうかと思ったけど私の物だからグッと堪える。
『いい加減にしろ!』
『本気で好きな子見つけろ!』
スマホの電源を切って荒ぶってる心を鎮めるためにお風呂にお湯を張って湯船に浸かる。
-----------
お風呂上がり、部屋着に着替えてドライヤーで髪を乾かす。スマホの電源を入れて恐る恐るトーク画面を見る。
『俺タマちゃんのこと好きなんだけどなー』
それ以降のトークはなく、諦めてくれたんだとホッとした。同時に嫌だって思う。こーやって簡単に告白できるこいつが嫌いだ。
『私は嫌い。諦めて』
と返信をして部屋に戻って課題を始める。
教科書を見ながら解いているとすでに時計は19:30を回っていた。
そろそろ福ちゃん部活終わったかな。
ちょっとだけ、連絡したいなって思ったけど部活で疲れてるだろうし福ちゃんが返信してくれるとは限らないから辞めておこう。
そろそろお夕飯を作ろうと部屋を出てキッチンの近くにあるエプロンをかけるとインターホンが鳴った。
あれ? なんか注文してたっけ?
なんて考えながら印鑑を持って玄関のドアを開けると
「・・・・・・・・」
「ニャー、ニャーッ!」
二匹の子猫を抱えた福ちゃんが立っていた。