第1章 プロローグ
「来てねえ奴いるかー」
「エースがサボりでーす」
担任のコラソンの問いかけに、クツクツと笑いながらコアラがこたえる。
「あの野郎ォ‥週始めは絶対ェ休むんじゃねェと毎回言ってるつーのによ‥オイこらサボ!何で引きずってでも連れてこねェ!」
「おれに当たるなよコラソン」
本に目を落としていたサボが呆れながら顔を上げる。
「お、キッド今日はちゃんと来てるな」
コラソンが首を長くしながら、教室の1番後ろに座っているキッドに声をかけた。
『つなぎ高のユースタスキッド』 ー
ここ近隣でその名を知らない者はいない。
ただでさえ手に負えない生徒が多いつなぎ高でもトップクラスの問題児だ。
「てめェが毎日うるせーからだろ」
眉を少し寄せながら、薄い唇の端を上げるその面を見るだけで逃げ出す者もいるほど人相が悪い。
「おれの心配よりトラファルガーの野郎の心配でもしとけ」
そう言ってキッドは隣の空いている席を親指で指した。
「アイツは後で愛のムチだ!」
「コラソンとトラファルガーは仲良すぎて気色悪ィんだよ」
キッドの前に座っているジュエリー・ボニーが、ピンクのロングヘアをかき上げながら言うと、クラス中から笑いが上がった。