第15章 赤くて熱い
《YOUR WIN!!!》
テレビ画面に映し出された文字に、うがぁ!と倒れ込む悠真くん。
『だから言ったじゃん!
これ得意だから手強いって』
【悠真】
「・・・自分で言うとかどんだけだよ、とか思ってたけど・・・本当だったんだ・・・」
『軽く引いてんじゃないよ』
そりゃ自分で言うのはどうかと思ったけど、本当にこれは3次元でもやってたから得意なんだよ
5回やって全部勝利した。
なんだこの優越感
【悠真】
「・・・俺、姉ちゃんに勝てんのかなぁ」
『いつかは勝てるって』
【悠真】
「そうじゃなくて・・・」
じゃあ、どういうこと?
そう訊いてみても、悠真くんは口を尖らせて唸るだけ。
こういうところはお兄ちゃんそっくりだな
【悠真】
「・・・ほんと、敵わない」
『え?』
なんと?
【悠真】
「兄ちゃんにも勝てないって訊いたとき、そんな訳ないってバカにしてたけど・・・
・・・・ほんと、無理。敵わないな」
ビックリするほど大人びた表情から放たれた意味深な言葉。
・・・え? この子、小学生ですよね?
『どゆこと?
敵わないって・・・何に?』
【悠真】
「・・・それもわざとじゃないんでしょ?
・・・じゃあもうダメだ! 勝てない!」
『?』
何言ってるの?
勝利を知らせるトランペットの音にかき消されそうなほど小さな声だったけど、でもしっかりと聞き取れた。
【悠真】
「───赤の他人の姉ちゃんと、普通こんなこと一緒にしないよ」
・・・え?
・・・赤の他人・・・
まぁ、当たり前か。
わたしは、ついこの前ここに居候してきた変な他人。
この家族の優しさに甘えて、大事なことを忘れていた。
私と彼らには、壁がちゃんとあることを
だから、一線を越えることは絶対にあってはならないし、人の家にズカズカ入ることもおかしいんだ。
・・・はぁ・・・
すっかり、忘れてしまっていた。
【悠真】
「・・・・・・・あのさ、なんか勘違いしてない?」
『・・・・え?』
溜め息をついた悠真くんは、何かを呟くとゆっくり私の方へ向かってきた。
『───!!』
ぎゅっと腰に手が回される。
あったかい
そう感じた。