第14章 虹の暴走
『ただいまー・・・ってあれ?
夢ちゃんたちは・・・』
【虹村】
「いねーな・・・」
家に帰ってくると、虹村先輩の妹弟たちの姿がない。
なんとなく、胸騒ぎがした。
【虹村】
「・・・参ったな。どこ行ってんだよ・・・」
『・・・──!!
先輩! ここ!』
なんとなくベランダに目を向けると、なぜか鍵が開いている。
先輩はいつもあんなに口を酸っぱくして「鍵はちゃんと閉めろよ」って言ってるのに・・・
妙な胸騒ぎが、冷や汗となって流れ出ていく。
『まさか・・・』
【虹村】
「!!? くそっ!」
ガン!と音が響く。
ビックリしてそちらを振り向くと、壁に拳をぶつけている先輩が。
『何してんですか! 怪我しますよ!?』
【虹村】
「夢たちが危ねーかもしんねぇ時に俺の心配すんじゃねえよ!」
『ッ・・・』
はじめて聞いたマジギレの怒声だった。
怒らせた。
直感的にそう思った。
・・・あ、わたしがじゃなくて・・・
・・・仮に連れていかれていたとしたら・・・その犯人が・・・ね。
『とりあえず、警察呼びましょうか・・・』
【虹村】
「いやまて。誘拐って決まった訳じゃねえ。
もし誘拐だったら、電話が来るはずだ。
身代金とかそういう」
『じゃあ、どうしましょう・・・?』
【虹村】
「・・・この近辺をくまなく探すぞ」
いつもキャプテンの誇りとして冴えている彼の頭が、今は倍になっている気がした。